外国為替法について
現在の外国為替法の正式な名前は「外国為替及び外国貿易法」ですが、現在の外国為替法の源は1949年12月1日に施行された「外国為替及び外交貿易管理法」です。
その後、1980年12月1日にそれまでのがんじがらめの規制から外国為替公認銀行、大手証券及び一部大手商社に限っては広範囲に自由化、特殊な外国為替取引を除いては当局の許可が不要になりました。
しかし、自然人や法人などが直接外国為替を行うことは外貨集中義務から禁止されており、例えると、海外旅行で余った外貨を、これから海外旅行に行く知り合いに売ることも外国為替法の違反行為でした。
1980年代後半から日本経済国際化が進展する一方、バブルが発生し1990年代はバブル崩壊の後始末に追われました。
バブル崩壊は日本経済の国際化停滞、銀行証券商社等の国際業務の低迷後退、金融市場としての東京の地位低下に危機感を抱いた当時の橋本首相は金融ビッグバンを提唱、外国為替法改正の推進を開始しました。
その一環として外国為替法の改正が行われ、1998年4月1日より施行されました。 現行の外国為替法は旧法からは大きく変わりました。
先ず法律の名前から自由化に逆行するイメージである「管理」の言葉がなくなりました。
又、法律の基本的な思想が旧法の原則禁止乃至は要許可例外自由から、新法では原則自由例外禁止乃至は要許可に変わりました。
つまり現行法では外国為替公認銀行でなく、誰でも外貨建ての取引を行うことが可能になり、これにより外国為替証拠金取引を自由に行える様になったわけです。
その外国為替証拠金取引を行う会社が多数出現し、一部に問題のある会社も現れ、顧客とトラブルを惹起して社会問題化しつつあることはご承知の通りです。
最初に述べました様に外国為替法の現行は旧法の改正という形式なので、旧法で禁止乃至は要許可であった事項が新法では自由化された為、法律上不必要になった条項を削除した結果、全部で73条の内約3分の1が単に削除となっています。
尚、やや横道に逸れますが、旧法時代は外国為替公認銀行(最初の外為法の時代には自由度の高い甲種と低い乙種がありましたが、途中で甲種レベルに1本化されました)でも自由に行える業務と要許可乃至禁止の業務の限界が解り難く、国際業務担当部内に外国為替法の専門家と称する行員が居り、不明な点はその担当者に意見を聴いていました。
そして担当者でも判断のつかぬ問題については当局に相談していました。
現行の外国為替法では大半の業務が自由化されましたので、個人間での外貨の売買も全く問題にはなりません。
又外貨建て債権債務の譲渡も原則自由になった為、旧外国為替法時代は禁止でしたが結構ニーズのあった銀行との外国為替の先物契約を他人に譲渡するということも可能になりました。
現行法では外国為替の絡む業務は大半が自由化されており、複雑な資本取引でも殆どが事前乃至事後の報告で済みます。 現在事前の許可が必要な取引は政情不安な国への貸付等極めて限定された事項に限られています。
しかしながら外国為替法は様々な変化をみせ、私達の生活を国際的なものにしていくことが予想されます。
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